毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

臼杵竹宵、秋の灯はほのかに④(松山銘菓)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113132.jpg ▲松山の路面電車。ほんの偶然なんですが、車側に「一六タルト」の広告が付いてます。

  「松山銘菓」というタイトルを見て「一六タルト」が思い浮かんだアナタ! それは、違います。松山にはもっとすばらしい、忘れてはならない銘菓があるのです!(あ、いえ、「一六タルト」は僕も好きですよ、もちろん。)

 道後温泉本館の風呂上がり。汗がひいたところで浴衣を着替えて、早く松山銘菓へ行かなければ。坊ちゃん列車の停まる道後温泉駅から再び路面電車に乗り、今度は4つめの「警察署前」で降ります。するとその道路脇に見えてくるのは……

 「労研饅頭」、であります。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113112.jpg ▲「労研饅頭」。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113117.jpg 路面電車を降りるとそこに……

 「ろうけんまんじゅう」じゃありません。「ろうけんまんとう」と読みます。松山「たけうち」の「労研饅頭」、これこそが松山の銘菓中の銘菓、僕はそう思っております。

 生まれて初めて松山を訪れたのが2003年の夏だったでしょうか。青春18きっぷで東京を発ち、大阪から「ムーンライト松山」に乗って早朝松山に着き、道後温泉本館で朝風呂を浴びました。その道後温泉へ向かう路面電車の中から外を眺めていたら、突然どうしようもないほどレトロな「労研饅頭」の看板と建物が目に飛び込んできたのです。
 あれは何だったんだろう。わからないまま東京へ戻り、同じ職場の松山出身の同僚に聞いてみたら「知らない」という答え。え、松山の人も知らないの?

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113120.jpg 「労研饅頭」。

 それなら自分で改めて見に行くしかないと、その年の秋に再び松山へ。路面電車の窓から見かけたはずの看板はどうにも見つけられなかったけれど、松山一の繁華街・大街道にも店舗があると聞き、行ってみるとあったあった「労研饅頭」。何個か買って食べてみると、確かに食感や生地の香りは中国の「饅頭(マントウ)」に似ている!

 「労研饅頭」は、昭和の初めに倉敷労働科学研究所が日本の食糧問題解決のため、中国の主食であるマントウを日本人向きに改良して製造しはじめたもので、その酵母菌を松山へ譲り受けて持ち帰り、当時の夜学生のために供されたのが松山での「労研饅頭」の始まりなのだとか。
 「たけうち」が労研饅頭を手がけたのは昭和10年。今も創業当時から受け継がれてきた酵母菌を使い、独特な風味(僕にしてみれば「一口で中国を思い出す風味」)を保ち続けている「労研饅頭」、今や味付き7種、餡入り7種、全14種類のラインナップ、しかも一個84円!僕が好きなのは一番人気のうずら豆。黒大豆もいける。チーズも意外なおいしさ。餡入りはつぶあんは言うに及ばず、いもあん、かぼちゃんあんも捨てがたい。冷たくなっても、これは実家にみやげで買って帰ったときに母親がやってみて発見したのですが、保温中の電気炊飯器の中のごはんの上に置いておくと、簡単に蒸かしたてようにふかふかになり、できたての味が楽しめました。

 そうして今回、その「たけうち」の本店、すなわち僕が初めて路面電車の中から見かけたあのレトロな看板のある店についに行くことができたのです!それは路面電車の警察署前で降りるとすぐそこにありました。あーー、そうですそうです、この看板、「労研饅頭」。確かに見覚えアリ。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113128.jpg こちらが店舗になってます。

 建物は二棟あり、蔵のような白壁のレトロな建物のほうに黒字の大きな看板が出ていますがこちらは店舗ではなく、その隣の赤字の看板の出ているほうが今は店舗になっているようです。ここが「たけうち」本店。
 店頭には昔懐かしいようなガラスケースがあり、その向こうで白衣に白いほっかむりのおねえさんやおばさんが立ち働いています。そしてガラスケースの中には数々の労研饅頭が!

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113124.jpg ▲上の棚が味付き、下の棚が餡入り。アップの写真がなくてごめんちゃい。

 次に乗る列車の中で食べようと何個か買って(いつもつい全種類買いそうになる)、再び路面電車に乗って松山駅へ戻ります。早く食べたい労研饅頭。

 今まで食べることにばかり気を取られて、労研饅頭の写真をしっかり撮っていないことが今わかりました(笑)。次回食べる機会があればじっくりと労研饅頭をレポートしたいと思いますが、とにかく松山銘菓は「労研饅頭」。みなさんもお試しあれ!