毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

またもどさまわり⑤(ねぶの花)

【2009年8月10日の追記】

 2年前のどさまわりの記事をリバイバル掲載しています。

 「象潟や 雨に西施が ねぶの花」。この芭蕉の句と、その不思議な地形とで、昔から一度立ち寄ってみたいと思い続けていた象潟。2年前のこのとき、ついに「きらきらうえつ」で念願を果たすことができました。折しもねぶの花はみごとに咲いており、駅前の句碑も見られてしばししあわせな気分になりました。

 そんな象潟の旅レポを今日はリバイバルです。

-------------------------------------

イメージ 1 ▲象潟を訪れた芭蕉の心を惹きつけたねぶの花。

 2007年8月26日(日)、象潟。

 快速「きらきらうえつ」に乗って3時間16分、羽越本線を山形県から秋田県に入って三つめの駅、終点象潟に到着です。いつも羽越本線を走る列車の窓から眺めるだけだった象潟にとうとう降り立つことができました。

 象潟駅3番線に到着した「きらきらうえつ」は15:22発の折り返しまでそこに停まったまま休憩です。折り返しまでは2時間弱。それが僕に与えられた象潟散策のための時間でもあります。

イメージ 2 ▲決して大きくはない象潟駅。

イメージ 3 ▲きらきらうえつはしばらく休憩。

 象潟と聞いてみなさんはまず何を思い浮かべるでしょう。僕はやっぱりまずは芭蕉の「奥の細道」が思い浮かびます。待ってましたとばかりに、駅前にはちゃんと句碑がありました。

 「象潟や 雨に西施が ねぶの花」

 これが、1689年6月16日に「奥の細道」の旅で象潟にやってきた芭蕉が詠んだ句です。「西施」とは楊貴妃などと並ぶ中国四大美女の一人。象潟で雨に降られた芭蕉は、雨にしっとりと濡れる合歓の花はかの西施が艶めかしく目を閉じている姿みたいだなあと詠んだわけです。
 そしたらその近くに、合歓の花もちゃあんと咲いていてくれました!合歓の花なんて今まで見たことも気を止めたこともなかったに違いないのですが、7月が盛りだという合歓の花が8月ももう末のこのときもまだ花をつけていてくれました。なんとまあぽよよんとしてやさしそうな花ではありませんか。芭蕉は、宮城の松島は男のようで、象潟は女性のようだと見ていたようですが、西施も合歓の花も、そんな象潟のイメージにぴったりですね。

イメージ 4 ▲芭蕉句碑。「象潟や 雨に西施が ねぶの花」。

イメージ 5 ▲奥の細道記念切手碑。

 駅からは、象潟のいくつかの見どころをめぐる散策ルートが設けられています。そのルートに沿って、駅前の句碑と「奥の細道記念切手碑」を見た後は、九十九島が見られるほうへと向かいます。途中羽越本線の踏切を渡りますが、ちょうど警報機が鳴り出し、秋田発の2010M特「いなほ10号」(485系3000番台新潟色)が駆け抜けていきました。

イメージ 6 ▲ねぶの花を愛でつつ散策。