毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

「富士」に乗って大分旅行④(筌ノ口温泉→豊後中村)

 2004年12月18日、大分筌ノ口温泉。

 書いていて思ったのですが、この旅の記録、全然鉄道の話が出てきませんね。もう少し鉄色を出そうと思っていたのに…… これからがんばります。

 寝台特急「富士」で前夜を過ごし、佐賀関、臼杵とめぐったところでようやく日も暮れかかってきました。そろそろ今日の宿へ行かねばなりません。

 そんなわけで、今日の宿舎は筌ノ口温泉「新清館」。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818221527.jpg 「新清館」正面。

  今となってはどうやってこの筌ノ口温泉なる温泉宿を選んだのか記憶がおぼろげです。「筌ノ口」なんて、最初はなんと読むのかさえ知らなかった(「うけのくち」と読むそうな。)。きっと雑誌「旅の手帖」か何かで紹介されているのを見つけたのでしょうけれど、鄙びた一軒宿という好みに合いそうな気がしたのですね。
 「新清館」は明治35年創業ということで、本館の木造三階建てはかなり年季が入って柱や廊下が黒々と光り、ウグイス張りでもないのに廊下はみしみしと…… 正面左手には新館もあり、こちらはずいぶんと新しそう。僕は本館三階の古ーい和室に落ち着きました。ああ、長い一日であった。

 炭酸水素塩泉の温泉は、混浴露天風呂の「こぶしの湯」と内湯を体験。確か女性専用の露天風呂もあったはずです。露天風呂は広々としていて、茶褐色の湯が肌に心地よく、あいにくの小雨模様でしたが夕食前、食後、深夜と三度も入りに行ってしまいました。朝風呂は内湯で。「新清館」には「筌ノ口温泉公衆浴場」が隣接していて、立ち寄り湯はこちらで楽しめるようです。新館裏手は渓流になっており、秘湯というほどの孤絶感はありませんが、それなりにのんびりできました。ただ、湯布院、黒川、筋湯等々並み居る温泉地がある中でそれらを振り切ってここまでたどり着けるかどうか。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818221532.jpg 混浴露天「こぶしの湯」。広い。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818221539.jpg 「新清館」の内湯。成分濃厚。

 翌朝、朝食を済ませて出発。玖珠川に沿って北上し久大本線豊後中村駅を目指します。
 
 玖珠川流域の両岸約2キロは断崖絶壁が直立にそそり立つ「九酔渓」。途中「桂茶屋」なる休憩所あたりから見下ろすと、確かに険しい谷がはるか向こうまで連なっており、道々それぞれ表情の異なる滝も流れ落ちていました。もう少し早く来ていたら、きっと素晴らしい紅葉を楽しむことができたのでしょうね!

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818221543.jpg 九酔渓。

 九酔渓を眺めながら北上を続けるとやがて国道210号線につきあたり、するともうすぐ豊後中村駅に到着です。

 ああ、今回も一度も鉄道が出てこなかった……(T_T)。