毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

名残の「彗星」、そして火祭り(その22;旅の終わり)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818112906.jpg ▲街も寝静まったまもなく深夜12時の青森駅。旅客扱いのある列車はあと二本を残すのみ。

 2005年9月2~3日、青森駅

 8月26日に東京をスタートして九州を旅した夏休みもそろそろ終わりに近づいてきました。

 「日本海3号」で9月1日のお昼に青森に着きましたが、実家には一泊しただけで、翌2日の深夜に再び青森駅へやってきました。明けて3日の00:11に出る2レ寝台特急北斗星2号」で帰京しようというわけです。

 上野と青森を太平洋側経由で結ぶ最後の寝台特急はくつる」が姿を消してからというもの、上野から青森へ行ける寝台特急は「あけぼの」だけになってしまった一方、上りは「あけぼの」に加えて、「北斗星2号」が青森に停車して客扱いをしてくれ、なんとか東北本線経由で上京する道もほそぼそと残されていました。「あけぼの」だと青森発が18:09と、「はやて」を使えばまだその日のうちに東京に着けるほど早い出発なのでなかなか使いにくいのですが、「北斗星2号」は青森発が日付の変わった00:11なので、夕食を食べて一杯やって、風呂に入ってからゆっくり出てこられるので、僕にとってはとても重宝な列車でした。
 この「北斗星2号」も、2006年3月18日の改正を機に「北斗星」が青森駅構内に入らずに青森車両センターで機関車を付け替えるようになったため、青森駅での客扱いがなくなってしまいました。これは、青森駅構内の保安設備更新工事の影響だとは言え、僕にとっては実に残念であり、また大きな不便をもたらすもので、少ないながらも存在した青森からの利用客を夜行列車から遠ざけることになり、ますます夜行列車の存続に不安が投げかけられたような気がしています。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818112915.jpg ホームの蛍光灯がやけに白々と。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818112910.jpg 青森ベイブリッジも眠っているよう。

 夜も更けてさすがに残暑も退き、涼しい風が吹き抜ける青森駅のホーム。日付が変わって最初に姿を現すのは、最終の「はやて」を受けて八戸からやってくる「つがる29号」。00:03に青森駅1番線にすべりこみます。そしてそれを追うように3番線に入ってくるのが、00:04着の「北斗星2号」。ED79に牽かれて青い車体がゆっくり到着です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818112901.jpg北斗星2号」、到着。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818112918.jpg EF81を待つ先頭車両。

 青森駅では乗務員が交替するとともに、機関車がED79からEF81に付け替えられます。青森から乗り込む人はほんの数人。僕のこの日の宿は5号車個室B寝台ソロの14番、下段です。ソロの下段は圧迫感もあまりなく、思った以上に広くて快適な感じです。
 車内はすっかり寝静まっていて、すべての個室のドアがぴたりと閉ざされた細い通路が白熱灯の黄色い光に妙にくっきりとしています。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818112928.jpg 静まりかえったソロの通路。

 機関車の付け替えを終えた「北斗星2号」は00:11、ごとりと揺れて青森駅を出発しました。終点上野駅まであと9時間30分。かつて「はくつる」が威風堂々走った道のりをたどっていきます。今夜は「はくつる」に乗ったつもりで一夜を過ごそうか、いや、「はくつる」にはソロはなかったな、そんなことを思いながら、寝る前にもう一本、缶ビールのプルリングをぷしゅっ。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818112922.jpg ▲予想以上に快適なソロの一階室。窓の向こうは「つがる29号」。