毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

青森を拠点にどさまわり⑦(「いなほ7号」)

【2009年7月6日の追記】

 「いなほ8号」で青森から新潟へ行って、同じ日の「いなほ7号」でまた青森へ戻るなんて、僕はこのときいったい何をやっていたんでしょうね(^^)。

 でも、往復ともすばらしい天気に恵まれ、日本海へ沈むすばらしい夕日をしっかりと見られたことは特に印象に残っています。また、新潟駅で、塗装は違えど485系の「北越」を間近に見られたのにも感激しました。そう言えばこのときは中越沖地震の一週間前だったのですね……。

 今思い返しても、ちょうど2年前の日本海の夕日が目に鮮やかによみがえってきます。日本海縦貫線ってほんとに風情があっていいですね(^^)。

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https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818132254.jpg ▲朝乗ってきた「いなほ8号」と同じ編成で金沢へ向かう「北越8号」。

 2007年7月9日、「いなほ7号」。

 新潟に着いて仕事モードの僕(笑)は、13時半からの会議に出席してちょいと仕事。しかしこの会議も予想どおり15時頃には終わり、よっしゃ間に合う!と再び新潟駅へ戻ります。

 そうです。今朝青森から「いなほ8号」で新潟へやってきた僕は、今度は新潟15:48発の2007M特「いなほ7号」で青森へ帰るのです!

 新潟駅に戻った時点で15:20。よし、まだおみやげを買う時間はある、と駅ビルの一階をうろうろし、実家の両親に笹団子とお菓子「朱鷺の子」を買いました。「朱鷺の子」は朱鷺の卵を模したかわいらしくておいしいお菓子でした。

 さて、ホームへ駆け上ります、が、まずは発車掲示板でちらりと目に止まった3番線へ。そこでは15:36発の金沢行き1058M特「北越8号」が発車を待っていました。こちらも485系北越カラーの絵柄ヘッドマークの6両編成。「北越」のヘッドマークなど今までおそらく見たことがなかったので、うれしい思いで写真を撮りました。
 ところで「北越8号」のこの車両は、実は今朝僕が乗ってきた「いなほ8号」と同じ車両です。新潟車両センターの607運用で、「いなほ8号」で新潟に着いた車両はいったん上沼垂に入庫し2時間ばかり休んだあと「北越8号」で金沢へ向かう運用になっています。607運用は一つの編成で青森から金沢までのロングランなのですね。

 残念ながら、特急「北越」は、このちょうど一週間後に起きた中越沖地震の影響で、今も運休が続いていて運転再開の見込みは立っていません。信越線の復旧作業が進み、被災地の一日も早い復旧と復興が進んで、早く「北越」が今までどおり元気に新潟~金沢間を疾走できるようになることを願ってやみません。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818132303.jpg北越」のHMは夏らしく爽快。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818132259.jpg 金沢もしばらく行ってないな…

 それから「いなほ7号」の出る6番線に上がり、そう言えば今日は昼飯がまだだったと思いだし、ホームの立ち食いそば屋で天ぷらそば大盛り!暑いホームで熱いそばを大急ぎで食べたら、おいしかったけれど汗びっしょりになってしまいました。
 そうして落ち着いた「いなほ7号」1号車普通車指定席。今回も485系北越カラーの6両編成で、もちろん絵柄のヘッドマーク。1号車は先頭車両で、半室グリーン車との合造車両クロハ481の1000番台。
 新潟ではぎりぎりの駆け込みになるかもしれないと思って指定券を用意しておいたのですが、乗ってみると意外なことにがらがら。なーんだ、これなら指定席でなくてもよかったなと思っていると、出発間際になってぞろぞろと急に乗客が増えだし、ほぼ満席に近くなりました。なるほど、15:40着の東京からの「MAXとき325号」から接続することになっていたのですね。いやーやっぱり指定席にしておいてよかったー。

 さあ、満席に近い客を乗せて、「いなほ7号」定刻発車です。
 豊栄、新発田、中条、坂町、村上とこまめに停車して乗客を降ろしていきます。上越新幹線から乗り継いだ、大きな荷物を持った人たちも概ね村上までで降りてしまいます。驚いたのは、村上あたりまでの短距離利用でもグリーン車を利用した乗客が多かったことです。しかも新幹線乗り継ぎ組がほとんど。グリーン車が利用できる東京圏往復の割引きっぷでも出ているのでしょうか。

 新潟を出て最初に回ってきた車内販売員さんを見ると、なんと今朝「いなほ8号」に秋田から乗ってきた車内販売員さんではないですか。「いなほ8号」と「いなほ7号」で秋田と新潟を往復する勤務形態になっているのですね。なかなかたいへんな行程です。僕はホットコーヒーを求めるとともに、秋田以降は車内販売がなくなってしまうので、早々に駅弁を買い込み、夕食に備えることにしました。
 鶴岡が近づいて再び鳥海山が見えてきました。天気は午前中と同様に晴れ渡り、復路も日の当たりかたが変わっただけで、鳥海山はすばらしい姿を見せてくれます。

 「いなほ7号」の中で、僕はなんとか日本海に沈む夕日が見られないかと願っていました。
 しかし、夏の日は高く、日本海はずっと見えているのですが、なかなか日が落ちてきません。
 ようやく、もう羽後本荘も近づいた頃、太陽はかなり水平線に近くなり、少し夕日色になってきました。羽後本荘を過ぎると海が見えにくくなるはずだと思った僕は、これが今日の精一杯の夕日の日本海だ!と思ってシャッターを切りました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818132308.jpg 18:50頃の夕日。

 ところが、列車が山手に入って海から遠ざかり、夕日の日本海はかれこれあきらめかけていた頃、羽後亀田を過ぎたその先に、びっくりするほど赤くて大きな夕日が山の端に見えたのです!それはもう今まで一度も見たことのないような色合いの、ため息が出るほどの夕日でした。なんとしてもこの夕日が日本海に沈むのが見たい!でも、この先、列車は海が見えるところを走るのでしょうか。夕日はどんどん沈んでいきます。しかし列車のほうも右にカーブを切って、再び海岸線に出そうな気配です。もう少し、もう少し、しかし僕がそう念じたからと言って列車はスピードを上げるわけではありません。

 そして列車は、ついに再び海岸線に出ました!素晴らしい景色です。赤く丸く大きな夕日のその下のへりがちょうどまさに水平線に接した瞬間でした。さっきまで大急ぎで落ちてきていた夕日が、水平線にたどりついたとたん、まるで躊躇するかのように、あるいは少しでも長く姿を見せてくれようとしているかのように、しばらくの間水平線の上にとどまり、このままでは水平線の上を転がっていってしまうのではないかと思われた頃、静かに静かにゆっくりと、空を夕焼けに染めながら水平線の向こうに沈んでゆきました。写真はうまく撮れなかったけれど、自分の目であんなに美しい夕日と日本海が見られただけで、大満足です。本当に、素晴らしい夕日でした。岩城みなとの手前から下浜、道川にかけてのほんの短い区間羽越線日本海が見える最後の区間でした。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818132311.jpg ▲写真は拙いけれど、羽越線で海が見える最後の区間で素晴らしい夕日と日本海を見ることができました。