毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

名残の「彗星」、そして火祭り②(映画「なごり雪」)

イメージ 1 ▲2005年8月27日、重岡駅。この木造駅舎は今はもうなくなったとか。


 このレポートを書き進めるに当たって、少し説明的に書かねばならないことがあります。

 それは、映画「なごり雪」のこと。少し長くなりますが、しんぼうして読んでいただければうれしいです。

 2003年の夏休み、青春18きっぷを片手に西日本へ旅に出ました。東京から大阪、「ムーンライト松山」で松山、そして八幡浜。八幡浜からはフェリーで臼杵へ渡りました。
 そのフェリーの船内に映画「なごり雪」のポスターが貼ってありました。この映画のことは全然知らなかったので、てっきり雪国の映画だと思い「へえどうして四国九州のフェリーにこんなのが貼ってあるんだろう」と訝しく思ったものです。

 ところが、臼杵に着いて、中心部「辻」のあたりを散策していたら、やっぱり映画「なごり雪」の看板があちこちにあります。そこで初めて、この映画が臼杵を舞台にして撮影され2002年に公開されたものであることを知りました。

 この日は都城まで下るつもりだったので、臼杵から南延岡行きの普通列車に乗りました。もちろん初めて乗る日豊本線です。津久見から佐伯へと深く入り組んだ海を見ながら進み、佐伯からは山道へ入ります。直見か直川で交換列車待ちがあって停車中に夏の夕立があり、雨のしずくを浴びながら重岡に停車しました。山あいにあるけれども二面三線でホームも広いので落ち着いた雰囲気のある駅でした。ここでも10分ほど交換待ちか追い抜かれ待ちの停車時間があったので、僕は列車を降りて駅舎の中に入ったり、駅前に出てみたりしました。古い木造の小さな駅舎でした。そうしたら、その駅舎には、その駅が「なごり雪」のロケに使われたことを示す看板が掲げられていました。そうか、この駅も「なごり雪」に登場したのか。

 それから僕は南延岡で列車に乗り換え、その日は都城まで行って宿泊をしました。

 東京に戻ってからいろいろ調べてみると、尾道三部作で有名な大林宣彦監督が臼杵映画として撮ったのがこの「なごり雪」だとのこと。その年の9月10日に絶妙のタイミングでDVDが発売されたので、さっそく購入して鑑賞してみました。―――出てきます出てきます、臼杵の町、臼杵のお祭り、そして重岡駅。重岡駅は、自分が停車時間の間に見た以上にすてきな駅に撮られているではないですか。よし、いつか改めて重岡駅へ行って、重岡駅でゆっくり過ごしてみよう。そのときそう決めました。

 映画「なごり雪」をめぐって、僕はこんなことを考えていたのです。

 え、映画そのものの話じゃないのかって? あ、そうですね、映画そのものについては、公式ホームページはもう終了してしまいましたが、いろいろなサイトがあるしDVDの紹介ページもありますし、そちらで見ていただきたいと思います。70年代と現代を交錯させ、「言葉」を大切にした、とてもよい映画です。ぜひ一度ごらんになることをおすすめします。

 そんなわけで、重岡駅へ行きたいと思い続けて丸二年。ようやくそれを実現する日がやってきたということなのです。次回、その旅の続きに戻ります。次回は南延岡駅から、スタート。

イメージ 2 ▲2005年11月6日撮影。雨の重岡駅。運転停車の「にちりん1号」の車内から。