宗谷岬でタコしゃぶplease!(その7;森駅)
▲わりと広い構内が広がる森駅でキハ40が発車待ち。
2009年9月5日、森駅にて。
森駅は、大沼駅で大沼公園、赤井川方面と池田園、渡島砂原方面へ分かれた函館本線が再び合流する森駅は2面3線で、かつて長大編成の特急や急行が行き交った名残の長いホームが今も横たわっています。構内もけっこう広い印象を受けます。駅のすぐ東側にはコンクリートの堤防が続き、その向こうはすぐ噴火湾です。森駅は実は海にとても近い駅で、天気がよければ函館方面に駒ヶ岳も拝めそうな位置にあります。
跨線橋から眺める森駅。
1番線ホームには鐘が吊してある木製の駅名標があります。この鐘の由来はわかりません。肥薩本線真幸駅のように列車が接近したときに鳴らした鐘なのか、それとも森町に伝わる何か由緒ある鐘なのか、それはわかりません。木製の部分は、上のほうは駒ヶ岳の形をしているようです。そうすると鐘が吊してある空間は大沼か。それもまたわからないけれど、どっしりとした木製の駅名標は北海道らしさが漂います。
海縁にある森駅。
鐘が鳴る駅名標。
「スーパー北斗9号」が走り去った森駅に残されたのは2両の気動車。JR北海道色のキハ40系です。おそらく函館から2両で12:06に到着した4833Dが1両ずつに切り離されて森からは別々に運用されるのでしょう、一方は13:24発の長万部行き普通列車893D、奥のほうは13:19発の赤井川、大沼公園経由函館行き普通列車4834Dになっています。どちらの車両も、13時を過ぎても乗客はちらほらで、土曜日の昼下がりは寂しいくらいに静かで、のどかです。
こちら長万部行き。
函館行きのほうのサボ。
2両の気動車が停まっているのは2番3番ホームのちょうど屋根がかかっている部分。小栗康平監督の映画「伽倻子のために」に出てくるのは、まさにこの屋根の下で主人公たちが列車を待つシーンでした。大沼公園の桜祭りに出す露店の品々を山ほど抱えてこの屋根の下で列車を待っていると、やがて蒸気機関車の汽笛が聞こえてくるのです。
今、蒸気機関車の汽笛は聞こえなくなり(「SL函館大沼号」が時として走ることがあるにしても)、気動車のエンジン音がそれに取って代わりましたが、森駅の静かでのどかな雰囲気は、きっと今も昔もそんなには変わってはいないでしょう。
▲森駅の2番線ホームは森を起終点とする列車の折り返し用。