中国鉄路あっちこっち(山海関老龍頭)
▲興城、山海関の旅を終えて、山海関駅からN113次列車に乗って瀋陽へ帰ります。
2006年10月8日、山海関。
思っていたより遠かった……山海関「天下第一関」から南へ歩き始めたはよいが、どこでどう道を間違ったのか間違ってはいないのか、城壁址づたいに歩いてきたつもりがいつの間にか何もない道をひたすら歩くはめになりました。
かれこれ一時間半も歩いたでしょうか、結局6kmぐらい歩いたと思うのですが、とうとうようやく、海が見えてきました。渤海です。「天下第一関」から続く城壁は、この渤海に突き出たところまで築かれているのです。この一帯は「老龍頭」と呼び慣わされています。
砂浜へ至った城壁。
山海関は明の洪武14年(1381年)に、時の大将軍魏国公徐達の命で築かれますが、下って1565年、兵部主事孫應元が海岸近くに「靖虜一号敵台」という見張り台のような楼閣を設け、1579年、時の名将軍戚継光がさらに海へ入り込む形の城壁を築いたというのが歴史のようです。海に突き出た部分の城壁は長さ22.4m、幅8.3m、高さは9.2m。9層の石煉瓦積みなっており、その上に「靖虜一号敵台」、のちに「靖虜台」と称される楼閣があります。ここが、よく知られているいわゆる「万里の長城」の本当の始まりになるというわけです。
▲そして城壁の先端は楼閣を伴って渤海湾の海中へと突きだしています。
はるか渤海の水平線。
▲この城壁に立って朝日の昇るのを迎えるというのはどうでしょう。
海岸沿いにも城壁がのびる。
ここから海岸沿いに延びる城壁などは修復されており、一帯は広大な公園に整備されていて一回りするだけでも骨が折れますが、「天下第一関」からてくてくと歩いてきてこの「老龍頭」の城壁の上で見渡す限り水平線の海を眺めると実に壮大な気分になります。この城壁の上から、渤海の昇る朝日を見るというのもいいかもしれません。
海に突き出た万里の長城の先端を見たら腹が減りました。公園の中の食堂で餃子を食べ、駅へ戻ります。もう歩くのはこりごりなので、三輪バイクタクシーに乗ります。所要10分ほどで5元。ああ、最初からこれに乗ればよかった……(T_T)。
楼閣を模した山海関駅。
山海関駅は「天下第一関」を模したばかでかい駅舎。迫力はあるけれどちょっとでかすぎかも。
山海関から乗るのは15:23発の山海関始発瀋陽行きN113次列車です。瀋陽までの426kmを5時間22分かけて走る管内近距離列車で、切符も朝出かけるときに購入済み。車両はすっかりおなじみ、緑色の25B型客車です。
山海関から乗るのは15:23発の山海関始発瀋陽行きN113次列車です。瀋陽までの426kmを5時間22分かけて走る管内近距離列車で、切符も朝出かけるときに購入済み。車両はすっかりおなじみ、緑色の25B型客車です。
「硬座(普通座席車)」でも始発ですから座れます。綏中、興城、葫蘆島、錦州と停車していくうちに日は暮れ、真っ暗の闇の中をひた走って、20:45、終点の瀋陽駅に到着しました。改札を出て振り返ってみると、なんじゃこりゃーー(x_x)。1910年竣工の辰野式デザインの駅舎が縁取りの電飾に覆われております。さすが中国、さすが縁取り。肩をすくめるべきか喜ぶべきか。さて、家に帰ろうか。
山海関発瀋陽行きN113次列車。
▲終点瀋陽駅。電飾の縁取りがいやはやなんとも。