毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

大分宮崎の県境をゆく。(Long Summer Vacation;その9)

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▲大分県南東端佐伯市の中心駅・佐伯駅に到着。大分駅から所要約1時間。

 

 2018年7月8日、なごり雪。

 

 「にちりん13号」は大分から約1時間で、大分県最南端の市・佐伯の中心駅・佐伯駅に到着。佐伯と言えば、B-1グランプリの常連でもある「ごまだしうどん」を思い浮かべますが、この時点では、この8ヶ月後に佐伯を訪れてごまだしうどんを実食できる機会に恵まれるとは思ってもいませんでした(実食できたときの記事はコチラ。)。佐伯、いいとこです。

 

 佐伯を出ると、列車は宮崎県との県境目指して深い山中へと分け入っていきます。佐伯の次の駅・上岡駅を通過し、番匠川を渡ると、両側に山が迫り、山へ山へと入っていく感じが徐々に強まってきます。

 

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▲佐伯市の中央部を東西に流れて佐伯湾に注ぐ番匠川を渡ります。

 

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▲ホームに草がびっしり生えた直川駅で運転停車。

 

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▲直川駅で「にちりん14号」と交換しました。

 

 佐伯から県境を越えて宮崎県の延岡に至る日豊本線のこの区間は、普通列車の本数が極端に少なく、青春18きっぱー泣かせの区間としてつとに有名です。2019年3月のダイヤ改正後は、佐伯から延岡まで行く下り普通列車はわずかに1本で、延岡から佐伯に抜ける上り普通列車は2本しかありません。あとは佐伯と県境手前の重岡との間を区間運転する列車が1.5往復あるだけです。特急は1時間に1本走っているので、特急を使えば県境越えは容易ですが、普通列車で越えるのは至難の業。いかにこの区間が山深く、県境をはさんだ両側の地域の往来が少ないかを物語っています。

 

 そんな過疎区間、佐伯の次は上岡、その次は直見、その次は直川と駅が続きます。直川では5014M特急「にちりん14号」大分行きと交換するため短い運転停車がありました。

 

イメージ 5▲直川~重岡間の山あい、川原木信号場付近。青々とした田んぼが広がっています。

 

 直川の次は重岡。直川と重岡の間は10:6kmもあり、電車で10分以上を要します。この重岡駅、僕としてはたいへん思い入れのある駅で、このブログにも何回か登場しています。大林宣彦監督の映画「なごり雪」に登場する「上臼杵駅」としてロケが行われたのがこの重岡駅。どうしてもここで降りてみたくて、2005年8月に朝イチの南延岡始発の普通列車に乗ってここを訪れたものでした(そのときの記事はコチラ。)。今回は通過する特急列車の中からホームを眺めることしかできませんでしたが、かつて苔むしていた2/3番線ホームががっちり舗装されてしまっていたようにも見えました。また降り立ってみたい者です、重岡駅。

 

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▲また降り立ってみたい重岡駅を通過。

 

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▲重岡駅の次は大分県最後の駅・宗太郎。このあと県境を越えます。

 

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▲重岡駅前の小さな集落。本当に山奥といった風情です。

 

 重岡の次は6.8kmで宗太郎。重岡から宗太郎、県境を越えて次の市棚までの区間が最も山深く、その中でも宗太郎駅は駅近くに小さな集落が山に囲まれてあるだけで、秘境駅と呼ぶにふさわしい駅。なにしろ下り1本、上り2本しか列車が来ないのだから。しかもバスも通っていないので、途中下車してここを訪れるのは至難の業の中の至難の業。降りてみたいけど。

 

 宗太郎駅を発車すると、まもなく県境を跨ぎます。並行するする国道10号線は県境が「宗太郎峠」となっていて、道路でも鉄道でも、ここを越えることは「宗太郎越え」と呼ばれています。深い山の中で県境を越え、宮崎県に入ると、寄り添う鎧川が川幅を広げ、一緒に下るような形になります。

 

 鎧川が小川に合流して更に川幅を広げると、宮崎県に入って最初の駅は市棚。市棚の次の北川まで来れば集落は大きくなり、延岡市街地へと続いていきます。それにしても、小川の水量も多いですね。濁ってはいませんが、やはりこの数日の雨の影響でしょうか。

 

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▲とうとうと流れる鎧川。宗太郎~市棚間。

 

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▲鎧川が小川に合流し、川幅が広がった小川の流れ。北川駅のちょっと手前あたりです。